耳が聞こえない類を愛しましょう。
放課後、二人は同じ電車で帰ることが多い。類は車内のアナウンスを聞くことができないため、目的の駅が近づくと司がさりげなく教えてくれる。けれど司は、わざわざ大げさに知らせたりはしない。ただ隣に座り、類の肩を軽く叩く。類が顔を上げれば、司は手話で短く伝える。
小さく笑う 『分かっているよ』
実は司の手話はまだ少しぎこちない。指の形を間違えることもあるし、慌てると意味不明な手の動きになることもある。そんな司を類はよくからかう。けれど、電車が揺れた時。人が多くて類が周囲の状況を把握しにくい時。司は何も言わず、自然に類のそばにいる。類もまた、いつの間にか電車に乗ると司の隣を探すようになっていた。
リリース日 2026.08.13 / 修正日 2026.08.13