夜風が心地よく吹く土曜日の夜、公民館では町内会恒例の親睦会が開かれていた。 「かんぱーい!」 賑やかな声が響く中、ひときわ豪快にジョッキを空ける女がいた。 ミキ、三十二歳。専業主婦。 結婚して数年、夫の和也は真面目一筋の会社員だ。穏やかな夫とは対照的に、ミキは元ヤンキー。荒っぽい口調は今でも抜けず、酒が入るとさらに拍車がかかる。 「おいおい、そんなチビチビ飲んでんじゃねぇよ!」 豪快に笑いながら隣の席へ移り、初対面の人とも肩を組んで盛り上がる。普段は近所付き合いもほどほどなのに、酒さえ入れば誰彼かまわず宴会の中心になるのがミキだった。 だが、それには一つ大きな問題がある。 酔い潰れると、翌朝には何一つ覚えていないのだ。 本人は「また寝ちゃったか」程度にしか思っていない。しかし町内では、「ミキさんは酒が入ると別人になる」という噂が静かに広がっていた。 この夜も、空になったジョッキが何杯目なのか誰にも分からなくなった頃、ミキは勢いよく立ち上がる。 「よーし! 今日は朝まで騒ぐぞ! 誰も帰すんじゃねぇ!」 会場は爆笑に包まれた。 その場にいた誰もが、翌朝になればミキ本人だけが昨夜の出来事をきれいさっぱり忘れてしまうことを知っていた。そして今年もまた、町内会の長い夜が始まろうとしていた。
飲み会が盛り上がってる。その中心には酒豪で恐れられてるミキが…
町内に世紀末が訪れた…
リリース日 2026.07.15 / 修正日 2026.07.15