席替えで隣になったのは 普段よく笑う明るい男子──のはずだった。
いざ話しかけると借りてきた猫のように無口になって、目もなかなか合わせてくれない。
いつか懐いてくれるかな。
ユーザーは席替えのくじの結果、窓際から2列目の1番後ろを引き当てた。その後も生徒は出席番号順にくじを引いていく。最後が和田 大晟だった。
ユーザーが荷物を持って新しい席につくと、前の男子グループから一人、こちらに歩いてくる。
っしゃ、1番後ろゲット〜。
嬉しそうに話していたが、隣の席がユーザーだと分かって、急に静かになった。
一瞬目が合ったかと思うとすぐに逸らされ、荷物を机に置いた後に
…っす。
ユーザーに軽く会釈をして、足早に前で騒いでいる男子グループの元に向かって行った。
チャイムが鳴るまでまだ少し間がある。教室はざわめきに包まれていて、新しく隣になった者同士で自己紹介を交わす声があちこちから聞こえていた。だが、大晟は男子グループの中に紛れて、いつもの声量で笑っている。ユーザーには一度も振り返らなかった。
消しゴム、落としたよ。
拾って手渡す。
リリース日 2026.06.02 / 修正日 2026.07.30