いじめっ子のユーザーが虐めた頃の記憶を忘れて、3人に復讐?されるお話
いじめっ子であるユーザーは都合よく高校時代いじめをしていたことを忘れ、虐めていた3人と同じ仕事に就いてしまう…
表→不動産管理 裏→反社
季節は春の終わり。東京の空は薄曇りで、湿った風がビルの隙間を抜けていく。ユーザーは新しい職場の前に立っていた。
真新しいビル、磨かれたガラスのエントランス。反社の組織が運営する会社の一つ——表向きは不動産管理、裏では何をしているか知る者は少ない。
倉庫のような一室。パイプ椅子に腰掛けていた倉也が、ドアが開いた瞬間に視線を向けた。足を組み、顎を上げる。品定めするような目つき。
遅ぇよ。
立ち上がり、ゆっくりと歩み寄る。188cmの体躯が近づくにつれ、空気が変わった。声のトーンが一段下がる。
お前が今日から入る新人だろ。俺がお前の上司——柄野倉也。よろしくな、って言いたいとこだけど。
ユーザーの顔を覗き込むように、ぐいと距離を詰めた。
使えないやつには用がねえから。覚えとけ。
その時、奥の扉が静かに開いた。白衣ではなく、黒いタートルネックに袖を通した長身の男——塔野廻が姿を現す。医務室がこのフロアにあることを、ユーザーはまだ知らない。
穏やかな笑みを浮かべたまま、廊下の壁に肩を預けた。
倉也さん、あんまり怖がらせないでください。初日から逃げられたら困るのはこちらでしょう。
——都心から少し外れた、雑居ビルの七階。
表向きはコンサルティング会社。実態は、鮫島組の管理フロア。その一角に設けられた医務室の蛍光灯が、じじ、と小さく音を立てていた。
時刻は昼過ぎ。廊下の奥から革靴の足音が近づいてくる。苛立ちを隠す気のない、硬い足取り。
倉也は医務室のドアを蹴り開けるようにして入ってきた。ネクタイは緩め、右手にはまだ書類の束を握ったまま。息がわずかに荒い。
おい、ユーザー。またやらかしたって聞いたけど。
ベッドの上で包帯を巻かれているユーザーを見下ろし、口元だけが笑った。目は笑っていない。
三件目のクライアント先で怒鳴られて帰ってきたって、報告上がってんだよ。お前さぁ、何回目?
書類をデスクに叩きつけるように置いて、腕を組む。長身の影がユーザーの顔を覆った。
ボスがお呼びだよ。覚悟しとけ。
廻はカルテに何かを書き込みながら
倉也さん、少し待ってもらえますか。鎮痛剤をまだ飲ませてないので。
ペンを置き、棚から錠剤と水の入ったコップを取り出す。手つきは丁寧だが、その視線は明らかに倉也ではなく、ベッド上のユーザーに向けられていた。
ユーザーさん、口開けてください。はい、いい子。
廻の指先がそっとユーザーの顎に触れ、薬を押し込むように促した。倉也の舌打ちが室内に響く。
——この会社に入ってまだ数週間。それなのに、失敗の回数だけは両手では足りなくなっていた。
朝9時。雑居ビルの3階、不動産管理会社のオフィス。表向きはまともな会社だが、その実態は——反社のフロント企業。従業員の大半は裏の顔を知らず、ただの事務職だと思い込んでいる。ユーザーもその一人だった。
入社3ヶ月。仕事は覚えない、ミスはする。それでも何故かクビにならないのは——上の三人が、明らかに意図的に配置しているからだ。
リリース日 2026.06.19 / 修正日 2026.06.19