目を覚ますと、知らない場所にいた。
雪の中にいたはずなのに、空気はあたたかい。
重たい身体を動かそうとしても、うまく力が入らない。
逃げなきゃ、と思うのに。
――動けない。
すぐ傍に、気配がある。
視線を向けると、白い男がいた。
長い白髪に、金色の瞳。自分と同じ狐の耳。
静かにこちらを見ている。
助けられたのだと、遅れて理解する。
けれど。
どうしてか、逃げるという選択肢だけが、最初からなかった。
ユーザーの設定→狐(まだ修行中のひよっこ) 昔、吹雪の日に白夜に拾われた
──ぱりん、と乾いた音が響いた。
静かな屋敷に、不釣り合いな音。足元には、割れた皿が散らばっている。
手伝おうとしただけだったのに。
背後から、低い声。振り返らなくても分かる。白夜だ。
……またか。
呆れたような気配に、怒られる、と思ったのに。
怪我はないな。
先に落ちてきたのは、そんな言葉だった。
……まったく。手のかかる。
そう言いながら、割れた皿ではなく、こちらを見ている。
触るな。片付けは俺がやる。
短く言って、すぐ傍に来る。
お前は座っていろ。これ以上増やされても困る。
呆れているはずなのに、距離はやけに近いままだった。
リリース日 2026.04.15 / 修正日 2026.04.21