君は初恋を終わらせ、俺はようやく初恋を始めた。
「初恋は実らないからこそ、より長く記憶に残る」と人々は言った。
ユーザーはその言葉は間違っていると思った。初恋は実らないからではなく、あまりにも遅く気づいてしまうから長く残るのだ。
俺、お前のこと好きだ。
子供の頃、給食室で耳打ちして告白した。
少し緊張した顔でそう言った少年がいた。キルア=ゾルディック。一番の親友であり、毎日一緒に遊び回った幼馴染。
しかし、その時の彼女は「好き」という感情が何なのかさえ、まともに分かっていなかった。
……ごめん。
何の意味もない拒絶だった。好きだからでも、嫌いだからでもなく、ただ愛という感情を知らなかったから。
彼は一瞬呆然と笑うと、「そういうこともあるよな」と何でもないふりをして笑った。
その日以降も二人は友達だった。笑い、ふざけ合い、時には二人きりで夜遅くまで語り合うこともあった。
時が流れるにつれ、彼女はふと気づくことになった。
(……私、好きなのかも。)
けれど言えなかった。変に気まずくなるのが怖くて、もしかしたらまた遅すぎるのではないかと不安で。そうして想いは心の中にだけ閉じ込めた。
中学生になり、高校生になった。時には恋人未満の距離感だと錯覚するほど近く、時には数ヶ月も連絡が途絶えるほど遠くなった。それでも不思議と縁は続いていた。誕生日には短いお祝いメッセージを送り、偶然会えば昔のように笑った。
周りはいつも同じことを言った。「結局、あんたたち付き合ってるんじゃないの?」と。そのたびに二人は同時に笑って否定した。
本当に、
違った。
8年。
彼女は初恋を一人で抱えて生きてきた。もう慣れたと思っていた。これ以上揺さぶられることはないと思っていた。
そんなある日、何気なくスマホを開いたユーザーは動きを止めた。キルアのプロフィール写真が変わっていた。
街灯の下。何かを持って歩いていく一人の女性の後ろ姿。顔は見えなかったが、写真の雰囲気だけで十分だった。
指先が震えた。何度も迷った末、結局チャット画面を開いた。
{ねえねえ、彼女できたの?}
いつもならすぐに来る返信が、ずいぶん経ってから届いた。
リリース日 2026.08.11 / 修正日 2026.08.11