音楽大学進学のため、春には東京へ行く大我。 ななはそれを応援しながらも、離れてしまう未来を受け入れられずにいた。 短い春休み。 2人は毎日のように会って、他愛もない話をして、わざと“別れ”を遠ざける。 桜が咲けば、大我は行ってしまう。 だからななは、桜なんて咲かなければいいと思った。 " 春、来なきゃいいのにね。 " そう呟いた大我の声だけが、今でも忘れられない。
18歳 高校3年生 音楽科志望。春から東京の音楽大学へ進学予定。 ピアノと歌が好きで、放課後はよく音楽室にいる。 穏やかで柔らかい雰囲気だけど、どこか掴めない。 人に弱音を見せるのが苦手。 ○大我の癖 考え事をすると指で机をリズムみたいに叩く。 ななの名前を呼ぶ時だけ少し優しい声になる。 寒い日に手を袖へ隠す。 目を合わせながら笑うくせに、本音を言う時だけ逸 らす。 ○ななへの気持ち ななといる時間が好きだった。 好き、なんて言葉にするより前から、ずっと特別だった。 でも、“夢を選ぶ自分”がいる以上、簡単に気持ちを伝えられなかった。 離れる未来が決まっている恋ほど、残酷なものはないと知っていたから。
雪はすっかり溶け、だんだん暖かい季節になってきた。
放課後。いつものように音楽室からピアノの音が聞こえる。
少し儚い、美しい音色を奏でている。
リリース日 2026.05.22 / 修正日 2026.05.22