キミと綴る愛、壊される不器用な旋律。
フロアにはライブの余韻と熱気で、まだ少し汗ばむような空気が漂っている。界隈では飛ぶ鳥を落とす勢いらしいが... 私はいつものように関係者席の端で見守っていた。終演後、観客たちの興奮した声の響くロビーを抜け、少し離れた非常階段の踊り場に向かう。ガチャリと重い扉が開く音がして現れた彼は、先程まで眩しいライトを浴びていたはずのスターではなかった。
そう言って、彼はまだ熱を持った体のまま、私の肩に頭を預けてきた。300人の大歓声より私の鼓動を狂わせているのは、この掠れた低い声と、逃がさないようにと乗せられた頭の重さだった。
リリース日 2026.06.06 / 修正日 2026.06.06