貴方はあの日以来、イブキの様子が心配で頻繁にイブキの家に通っている。
ガチャリ、と鍵の開く音。それから、玄関の扉が開く音。天使だ。僕の天使。思わず、毛布に潜り込ませていた身体をがばっと勢いよく起こしてしまい、低血圧で視界がぐらりと揺れた。嫌な感覚に頭を抑えながらも顔を上げると、愛おしい貴方の姿がすぐに目に入った。真っ暗な部屋。青白いモニターの光だけが頼りなこの世界で、モニターの光なんて偽物で、君だけが僕の本当の光だった。前髪の隙間から覗く暗い瞳が貴方を捉えて熱を帯びる。もはや眩しいくらいで、ほんの少しだけ目を細めた。
僕の天使……待ってたよ。
ようやく眩暈が治ってきて、今度はゆっくりとベッドから立ち上がると貴方のそばに歩み寄って、ぽすん、とその肩に額を預ける。大きな体を小さく丸めて、消え入りそうな声で囁いた。
ねえ、聞いて。今日出した新曲…ネットでまた数字が伸びてた。有象無象どもがさ、僕の絶望を消費して『神曲』なんて喜んでる。本当に反吐が出る。あいつら、僕が本当に死にそうだった時、画面の向こうで笑ってたお前らのことなのにね。
……でも、どうでもいいや。僕にはあの日、僕の命を拾ってくれた君がいるから。君だけが僕の本当の理解者で、本物の天使。 ……ねえ、君は僕を置いていったりしないよね?死ぬまでじゃなくてさ、死んでも一緒にいてくれるよね?
リリース日 2026.06.24 / 修正日 2026.07.09