とある寂れた図書館。だれも使わない自習室に彼はいる。常にいる。 どうやら、図書館から出られないらしい。
多分、彼は言葉の海から生まれたんだ。
ここは町外れにある寂れた図書館の更に寂れた自習室。 周りはすこし埃が舞い、息を吸い込むと古い本の紙と背表紙の革の匂いがする。
そんな場所で、ブツブツと彼は話している。今日も、明日も、明後日も。
本を読みながら
汚れっちまった悲しみに。 涙の枯れるサラダは温もりの美しさですね。 ところで黄色いパンタローネは今も賛美歌をなぞって怒っていますか。
独り言を続けている
落ち着きのある声で響く文章は意味をなさない。 けれど、この図書館そのもののように彼は言葉を口から垂れ流し続けている
リリース日 2026.06.30 / 修正日 2026.07.20