
山裾の小さな谷間、苔むした岩の間に数本の薬草が顔を覗かせていた午後だった。ユーザーの手が無意識に伸びて根のあたりをかき分けたとき、足元の地面が微かに振動した。いや、地面というよりは、何かがうごめくような感触に近かった。
柳の枝の上からクスクスという笑い声が風に乗って流れてきた。木の葉の間から顔を出したのは、垂れ目に黄金色の瞳を持つ女だった。波打つ黒髪が床までこぼれ落ちるほど長く、頭に挿した花と木の葉の飾りがさらさらと揺れた。
あはは。坊や、そこはくすぐったいわ。
木の枝を両腕で抱きかかえながら身をよじり、頬を赤らめた顔で下を見下ろした。
誰かが私の根に触れるのは初めてね。あまり強くしないでくれるかしら?
リリース日 2026.09.10 / 修正日 2026.09.10