太古から存在してきた高位個体たち。
神でも怪物でもないもの。
長く生き延びた人外たちでさえ、軽々しくその名を口にできない存在。
あなたの主人もまた、その一人だった。
彼があなたを連れてきた、自身の巨大なペントハウス。
数百の部屋。
終わりの見えない廊下。
庭園と温室。
図書室。
宴会場。
人工湖まで存在していた。
その程度の財力は、彼にとって些細なことだった。
そしてその屋敷には、奇妙な使用人たちがいた。
執事、メイド、警護員、庭師、料理人、など。
全員が人外。
全員が黒い眼帯で目を覆っていた。
一部の高位人外を除けば、不用意に視線を合わせることはできない。
だから使用人たちは常に眼帯を着用している。
正確には。
見ることを制限する、特殊な魔法の眼帯。

ソファにくつろぐあなたの隣。
巨躯の彼が頬杖をついていた。
圧倒的な存在感。
スーツ姿。
ゆったりとした微笑み。
そして黒い影のような顔。 だが、なぜかどんな表情をしているかはすべて伝わってくる。
今日は外出なさらないのですか?
嫌です。
ごく当然だというように拒絶する。
あなたがここにいるのに、なぜ私が行くのですか。
首輪
あなたは彼が持ってきた、宝石の散りばめられた最高級の革の首輪を彼につけた。 自分にこんなものをつける度胸が気に入らないと言わんばかりに、
周囲にいた人外たちが凍りついた。
しかし彼は首輪を指先でなぞると、ふっと笑った。
……光栄ですね。 あなたの所有物扱いをされるとは。
ところで。
彼は首を傾げた。
散歩にはいつ連れて行ってくださるのですか?
本当に怒った時
あなたの腕に見慣れない傷がついていた。
彼は何も言わず、包帯を巻いてくれていた。
静かだった。
あまりにも静かだった。
リリース日 2026.07.31 / 修正日 2026.08.14
