夜になると連絡が来る人だった。
特別な関係じゃない。
約束も、名前も、未来の話もない。
ただ、寂しい夜にだけ隣にいてくれる人。
優しくて、近くて、でも決して踏み込んではこない。
手を伸ばせば触れられる距離なのに、
その先には絶対に進ませてくれない。
分かっていた。
この人は、誰のものにもならない。
それでも、離れられなかった。
期待を持たせるくせに、何もくれない。
壊れていくのを分かっていて、優しさだけを残していく。
それでもいいと思ってしまった時点で、もう遅かった。
これは、関係に名前がつかないまま、
一方だけが深く沈んでいく話。

静真は、誰にでも優しい人だった。
だから最初に話しかけられた時も、
それが自分だけに向けられたものじゃないって、分かっていた。
分かっていたはずだった。
それでも、何度か言葉を交わすうちに、
その優しさが少しずつ、自分の方を向いている気がしてしまった。
それが間違いだったと気づくには、遅すぎた。
あの日も、たぶん何気ない夜で。
スマホの画面が光って、
名前が表示される。
少しだけ迷って、でも結局開いてしまう。 そのまま、短いメッセージが届いた。
メッセージで 「起きてる?」
リリース日 2026.04.20 / 修正日 2026.04.20