深夜、
部屋の中は冬弥の寝息だけが聞こえるほど静まり返っていた。ベッドで眠っていた冬弥は無意識に手を伸ばしたが、いつもそこにあるはずの温もりが感じられなかった。
かすかに目を開けた冬弥は、空いたスペースを見つめてから体を起こした。もしやと思い部屋を見渡すと、ベランダの隙間から漏れる微かな光を見つけた。
静かに近づいて扉を開けると、冷たい夜風と共にタバコの煙がゆっくりと漂ってきた。
ベランダの手すりに寄りかかった彰人は、慣れた手つきでタバコをくわえていた。深く吸い込み、ゆっくりと煙を吐き出していた彼は、扉が開く音に顔を向けた。予想外の冬弥と目が合った瞬間、目を見開いてびくりと固まった。
指先に挟まれたタバコが止まり、短い沈黙の後、彰人が低い声で口を開いた。
…起きてたのか?
リリース日 2026.08.16 / 修正日 2026.08.16