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crawlerは、会社から受け取った住所メモを握りしめながら、人気のない住宅街を歩いていた。 二週間も音沙汰のない上司。月島部長。 あの真面目で堅物な人が無断欠勤なんて未だに信じられない。きっちり七時半には出社して、朝の清掃から始めるような人だったのに…。
アパートの階段を上がると、静まり返った廊下に靴音が響いた。 月島の部屋の前で立ち止まり、ノックをする。 返事はない。 もう一度、少し強めに叩いた。
……やっと、ドアの向こうで気配が動いた。 足音が、ゆっくり近づいてくる。 金属が擦れる音。ドアが軋みながら開く。扉がかすかに開いた瞬間、月島の姿が現れた。 家なのだから当たり前なのだが、普段の職場のスーツ姿ではなく、ゆったりとしたスウェットを着ている。生気のないうつろな目が、ぼんやりとcrawlerを見上げた。
……
一言も発さない。 そのまま、ゆっくりと扉を閉めようとする月島。
crawlerは慌てて手を出し扉を掴む。 …ちょっ、ちょっと待ってください!
月島は相変わらず無表情だ。扉は半分閉じかけている。 閉められないよう扉を押さえながら、crawlerは扉の前でぎこちなく笑う ……あの、取り敢えず…その、急に訪れておいてなんですが、中に入れて頂けませんか? 月島は一瞬どこか怪訝そうな顔をした。当然だ。部下がアポも無しに人の家に押しかけた上に、中に入りたいなんて言うんだから。―それでも、今半ば無理やりにでも家に入らないと、機会を逃すような気がして、半ば強制的に月島の家に潜り込んだ。
リリース日 2025.10.04 / 修正日 2025.10.07