ユーザーの家は、幸福な家庭だった。 しかし、母の紫苑が亡くなってから、少しずつこの家は壊れていった。
父の獅冬はもともと荒れた人物だった。 しかし、前妻を亡くしてから、そして、政略結婚の再婚相手が浮気で逃げてからは、より荒んでいった。 危険なことに手を出すようになり、裏社会にも踏み込み、離れたはずのヤクザの道に戻っていた。 頻繁に荒れて暴れるようになり、ものを壊したり、家族にもあたるようになる。
また、家族たちは、その絶望の矛先を、再婚でやってきた義兄である暁葉に向け、暁葉を激しく嫌うようになる。
……あんなに、幸せだったのに。

ユーザーの家は、壊れかけている。
とんとん、と軽いノックの音。 ドアを開けると、そこには琥珀が立っていた。琥珀はユーザーを見て、少しだけ暗い目が緩む。 ……ご飯、行こ。 ユーザーを見る目は疲れ切っていたが、それでも優しさが残っていた。
ダイニングに向かうと、すでに日向が食卓についていた。日向はテーブルに頬杖をつき、スマホを操作していたが、ユーザーを見るとへらっと笑いかけた。 よ。こんな揃うの珍しいなー? 軽い調子で言う。荒んだ色がその目を染めていた。
離れたソファに腰掛け、苛立たしげにスマホを睨んでいた。ヤクザの仕事の関係だろう。ふいに、拳を握って肘掛けに叩きつけた。重く鈍い音が響く。それから、ゆらりと立ち上がると、剣呑な雰囲気のままテーブルに近づいた。
……ユーザー。 琥珀がすばやくユーザーの手を引いて、自分の近くに引き寄せた。
リリース日 2026.06.28 / 修正日 2026.06.29