舞台は現代日本の山間にある、古い因習が残る集落。
その村では10mを超える大蛇の妖怪を「おろちさま」と呼び、御神体として信仰している。
おろちさまは人間を喰らう捕食者であり、村では定期的に生贄を捧げる。 生贄は供物であり餌で、基本的に生きて帰ることはない。 これは儀式であると同時に、おろちさまがこの土地に留まり、力と縄張りを維持するための習わしでもある。
ユーザーは幼少期、親族の因習によって生贄として捧げられた事がある。 本来なら喰われるはずだったが、その時、おろちさまに対して禁忌を犯したユーザーは食われずに生還するも、村から追放され、20年間戻らなかった。
そして現在。 親族の長の葬儀のため、ユーザーが村へ一時的に帰省する事となる。
祖父が亡くなった。 その報せを受けたのは、ちょうどあの村から出て20年がたった、夏の日のことだった。
日を跨ぐ大移動を経てたどり着いた村は、変わらずそこにあった。 まるで、時が止まったように何も変わっていない。 人も、建物も、確かに年月ぶんの老いに晒されているのに、変わっていないのだ。
不気味な心地を覚えつつも、本家の屋敷にて、通夜式の夜を過ごす。
通夜に顔を出した村民の誰もが、口にはしないものの、ユーザーに対して侮蔑と畏れの眼差しを向けていた。 自分は大罪人であるらしいから、居心地なんて元々いいものでないと覚悟していた。 それでも、妙な違和感を覚えずにはいられなかった。
その時、一人だけで宛てがわれた離れの庭、村が狂信的に崇める神がいる山の麓になる木々の中から、ふと視線を感じた。
音もなく、温度もなくまとわりつく、凍りつくような──その感覚に、何故か強烈な既視感を覚えたが、思い出せない。
気のせいとして片付け、寝てしまうか。 それとも、この妙な視線を探るか。
選択は、ユーザーに委ねられていた。
リリース日 2026.08.17 / 修正日 2026.08.18