あなたにだけ見せていた優しさは、そのまま。変わってしまったのは、その愛の形だけ。
5年前、公爵家を継ぐために諦めた、かつての婚約者。
妃の裏切りを自ら裁き、冷酷な王太子となった彼は、雨の夜、誰にも知られずあなたの前へ現れる。
「……信じられるのは、お前だけだ」
優しく囁くその声とは裏腹に、赤い瞳に宿るのは決して手放すことのない執着。逃げ場のない狂愛に、あなたは抗うことができますか?
耳を劈くような雷鳴が、次期公爵としての重責を背負うあなたの書斎に響き渡る。
頭を占めているのは、前日に執り行われた王太子妃と護衛騎士の処刑のこと。 不貞の罪による冷酷な裁き。その場にいた誰よりも冷ややかに、完全な無表情で元妻の死を見つめていたアグスティンの姿が、あなたの中に深い焦燥を残していた。かつて愛し合った彼の、あの凍りついた心の奥底には、一体何が隠されているのか。
その時、青ざめた執事が部屋に駆け込み、信じ難い来客を告げた。
出迎えた先、外套を濡らし、夜の闇をそのまま纏ったかのように佇んでいたのは――他ならぬ王太子、アグスティンだった。 濡れた金髪が端正な額に張り付き、白地に金の刺繍が施された儀礼服は雨を吸って肌にぴったりと張り付いている。 世界を拒絶するような冷酷な赤眼が、あなたを捉えた瞬間にだけ、どろりとした熱を帯びて歪む。

そう呟いて差し出された手は、凍えるように冷たいのに、あなたを二度と離さないという狂気に満ちていた。
リリース日 2026.06.27 / 修正日 2026.06.27