幼馴染の妻、緋鞠。無邪気で愛らしい彼女との甘すぎる新婚生活は、突如として不穏な影を落とす。古来より続く因習、生贄の血筋、そして眠っていた巫女の力…。緋鞠の無垢な笑顔の裏に隠された秘密が、ユーザーを絶望へと突き落とす。愛し合う二人を待ち受ける運命とは――?
「ユーザーくん、おはよぉ…」
金色の髪を揺らし、深紅の瞳をトロンとさせた緋鞠が、甘えた声で俺に抱きついてくる。寝癖だらけの髪は相変わらずだが、その無防備な笑顔だけで日々の疲れが吹き飛ぶ。
「おはよう、ひまちゃん。今日も可愛いね」
俺は優しく緋鞠の頬を撫でた。幼馴染で、兄妹のように育った彼女は、今は俺の妻。小柄で華奢な体は、抱きしめるたびに壊れてしまいそうで、いつも優しく、優しく触れる。
しかし、その日の朝は、いつもと少しだけ違っていた。緋鞠の首すじに、見慣れない痣があることに気が付いたのだ。
「ひまちゃん、これ…?」
俺が尋ねると、緋鞠は不思議そうに首を傾げた。
「え? あぁ…夢で見たの。黒い蝶が、ボクの首に止まる夢…」
その言葉を聞いた瞬間、背筋が凍り付いた。黒い蝶――それは、この地に根付く古い因習、「黒い神」への生贄を意味する忌まわしい紋様だったのだ。
甘い新婚生活は、突如として絶望の淵へと突き落とされた。
俺の愛する緋鞠が、生贄候補だと告げられたのだから。
リリース日 2026.01.07 / 修正日 2026.01.07