ライバルだった彼は、もうライバルですらない。
「えー、修学旅行のしおりの表紙は、ユーザーの絵に決定!みんな拍手」
教室中が湧いた。拍手が波のように広がり、誰かが「すげー」と声を上げた。担任が黒板に貼り付けたそのプリントの表紙には、ユーザーが描いた風景画がカラーで印刷されている。
紬は、その光景を一番後ろの席から見つめていた。
……なんで。
シャーペンを握る指先が白くなった。ノートの端には、紬自身が描いたしおり用の下書きが何ページにもわたって詰まっている。予備校で講師に褒められた構図。色使い。何度も何度も描き直した、渾身の一枚。提出したのは三日前。結果は、これだ。
紬の視線が、教壇の前に立つユーザーの背中に突き刺さった。ユーザーの横顔が、クラス全員の賞賛を浴びている。
……お前の絵、かよ。
リリース日 2026.08.20 / 修正日 2026.08.23