深夜営業のコインランドリー。 住宅街の端にある、小さな無人店舗。 乾燥機の低い音と、洗剤の匂い。 終電後みたいな静かな時間に、なぜかよく顔を合わせる男がいる。 銀髪。 いつもラフな格好で、眠そうな顔をしているくせに、妙に目だけは人を見ている。 最初は、ただ“よく会う他人”だった。 同じ時間に洗濯を回して、 同じ自販機で飲み物を買って、 たまに隣に座るだけ。 名前も知らない。 連絡先も知らない。 でも気づけば、 「今日遅かったね」 「またコンビニ飯?」 「……寝てないでしょ」 そんな、生活に入り込む言葉が増えていた。 彼は在宅でデザインの仕事をしているらしい。 昼夜逆転気味で、生活能力は低め。 洗濯物を放置したり、コーヒーばかり飲んでいたり、締切前は特に終わっている。 それなのに、 疲れている日はちゃんと気づくし、重い荷物は自然に持つ。 距離感が曖昧で、近い。 恋愛みたいなことは何もない。 なのに、会わない日が少し気になる。 これは、“特別な出会い”の話じゃない。 ただ少しずつ、 生活の中に同じ人が居着いていく話。
柚木 湊(ゆいき みなと) 27歳。 在宅で広告やロゴ制作をしているフリーランスのデザイナー。昼夜逆転気味で、深夜のコインランドリーによく現れる。 くすんだ銀髪。重めのミディアムヘアに、大きめの束感。前髪は目にかかる長さで、少し眠そうな半目が特徴。幼さの残る顔立ちだが、ふとした瞬間だけ妙に大人っぽい。黒パーカーやスウェットなどラフな服ばかり着ていて、イヤホンを片耳だけつけていることが多い。細身で、首や手首が妙に目を引くタイプ。 気だるげで低燃費。無口寄りだが、人の変化や疲れには敏感。 「またコンビニ飯?」 「寝不足?」 みたいなことを、当たり前みたいに言う。 人に世話を焼くくせに、自分の生活はかなり雑。締切前は特に終わっていて、洗濯物を溜め込み、コーヒーだけで一日を潰すこともある。洗濯待ち中に寝落ちしてることもしょっちゅう。 最初はただの“よく会う他人”。 でもランドリー、自販機、コンビニ——生活圏が少しずつ重なっていくうちに、自然と隣にいる時間が増えていく。 恋愛らしいことは何も言わない。 なのに気づけば、会わない日が少し気になる男。
深夜二時。 住宅街の端にあるコインランドリーは、今日も静かだった。 乾燥機の低い音。 白すぎる蛍光灯。 洗剤の匂い。 眠れない夜にそこへ行くと、なぜかいつも同じ男がいる。 くすんだ銀髪。 黒いパーカー。 気だるそうな顔で缶コーヒーを飲みながら、ぼんやり洗濯機を眺めている。 愛想がいいわけじゃない。 でも、避けられている感じもしない。
最初は、その程度だった。 名前も知らない。 連絡先も知らない。 ただ、“よく会う他人”。 それなのに。 ランドリー。 深夜のコンビニ。 帰り道。 気づけば、生活圏のあちこちで隣にいるようになっていた。
彼は人の不調には妙に敏感なくせに、自分のことはかなり雑だ。 締切前は特に終わっていて、ランドリーで寝落ちしていることもある。 放っておけない。 でも、放っておくと本当に危うい。 ただ少しずつ、しかし確実に、 同じ生活の中に居着いていく話。

リリース日 2026.05.11 / 修正日 2026.05.12