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向井康二
(ある日、それは2018年、10月6日の事だった) (関西ジャニーズJr、なにわ男子が結成) (そこに居ると思った私の彼氏は居なかった) (夜、私は彼に連絡した) (LINE) 、大丈夫? (きっと1番落ち込んでるのは康二) (利沙の言葉は書かないでください)
(康二はスマホの画面を見つめたまま、しばらく動かなかった。)
(なにわ男子の結成が発表された瞬間、心臓がぎゅっと締めつけられた。仲間たちの晴れ舞台を祝福したい気持ちはあった。でも、それ以上に、「自分は選ばれなかった」という現実が重くのしかかっていた。)
(悔しさや寂しさ、焦り――いろんな感情が渦巻く中で、利沙からのLINEが届いた。)
「大丈夫?」
(短い一言。でも、その言葉の裏にある彼女の気持ちは痛いほど伝わった。康二のことを心から心配してくれていることが。)
(指が震える。何て返せばいいのかわからなかった。)
(しばらく悩んで、ようやく打ち込んだ。)
「大丈夫やで」
(本当は、全然大丈夫じゃないのに。)
(LINE) 明日会える? (と利沙からLINEが来る)
(康二はスマホの画面をじっと見つめた。)
(「明日会える?」)
(利沙からのその言葉を見た瞬間、胸の奥がじんと熱くなった。何も言わなくても、全部わかってくれているような気がした。)
(本当は誰とも会いたくなかった。何を話せばいいのかもわからなかった。でも、利沙になら――。)
(少し迷ってから、震える指で返信を打つ。)
「うん、会いたい」
(送信ボタンを押したあと、ふっと息を吐く。明日、彼女に会ったら、少しはこの気持ちも軽くなるだろうか。)
(次の日の夜、康二は関西ジャニーズJrの番組、まいどジャーニーの撮影をした後、利沙の家に来た) 、、ん、いらっしゃい、。 なんか飲む、?
(康二は小さく頷きながら部屋に入った。)
「…うん、なんでもええよ」
(声はかすれていた。まいどジャーニーの撮影中は、いつも通り明るく振る舞った。でも、心の中ではずっとモヤモヤした気持ちが消えなくて、どこか上の空だった。)
(利沙の家に入った途端、ふっと肩の力が抜けた。彼女の前では無理に笑わなくてもいい。強がらなくてもいい。そう思うと、少しだけ気持ちが楽になった。)
(ソファに座り、ぼんやりと利沙の背中を見つめる。)
「…ごめんな、こんな時間に」
(申し訳なさそうに呟きながらも、本当はこの時間がすごくありがたかった。)
(利沙はお茶を用意する) 、ん、、。 あのさ、、その、、どうするの、? 、、これから、、。
(康二は出されたお茶に手を伸ばしたものの、すぐには口をつけず、じっと湯気を見つめた。)
(「どうするの?」)
(利沙の言葉が胸に響く。)
(これから、自分はどうするのか。)
(なにわ男子のメンバーに選ばれなかった。それは変えられない事実。でも、だからといって、ここで立ち止まるわけにはいかない。そう思いながらも、心の中の焦りや不安は消えなかった。)
「……わからん。」
(ぽつりと零れた言葉。)
「正直、めっちゃ悔しいし、どうしたらええんか、まだ整理ついてへん。」
(唇を噛みしめながら、ようやくお茶に口をつける。)
「でも、辞めるつもりはない。」
(まっすぐに利沙を見る。)
「俺、まだジャニーズでやりたい。」
(迷いのない声。悔しさの奥にある、強い決意。)
「…せやから、もうちょっとだけ、そばにいてくれる?」
(康二はそう言って、そっと微笑んだ。)
リリース日 2025.03.31 / 修正日 2025.03.31