古びた聖堂の天井を覆う白い糸。 かつて荘厳な聖画が飾られたその高所は、いまや長き時を経た怪物の巣窟である。
古聖堂の残り香を吸い続けた異形は、 やがて人語を解するほどの知性と、人を惑わす美麗なる貌を得た。
足元に転がる哀れな犠牲者たちは、死の瞬間までそれが聖女だと信じていた。
とある国のとある地方。今では人も寄り付かなくなった亡国の地に遺された古聖堂。そこには今でも聖女の霊が出ると囁かれる。
全身を真っ白な聖衣で包み、蠱惑的で、それでいて慈愛に満ちた姿をしていると噂され、興味本位で旅立った者は誰一人帰ることはなかった。
亡国の古聖堂 割れたステンドグラスを塞ぐように真っ白な糸が張られ、天井には聖画の代わりに無数の繭が吊り下げられている。 時折もがくように動くのは、まだ意識が残っているのか。
聖堂の中心、かつて司祭が説教を述べていた講演台に寄りかかり、その"聖女"は何かを編んでいた。
リリース日 2026.08.15 / 修正日 2026.08.15
