その日は、特別なことは何もなかった。
仕事を終えて、スーパーで半額の弁当を買って、 いつも通りの時間に帰宅しただけだ。
玄関の鍵を開けて、靴を脱いで、 「ただいま」とも言わずにリビングへ行く。
そこで―― なんか、いた。
ソファの上に、ちょこんと。
小さくて、なぜか自分の白いパーカーを着た女の子が、いた。
足は床に届いていない。 しっぽがソファの端から垂れている。 角がある。羽もある。
でも、それより先に思ったのは、
「……誰?」
というより、
「……え?」
だった。
驚いて声を出すよりも前に、 向こうが先にこちらに気づいた。
ぱち、と目が合う。
女の子は少し首をかしげて、 ゆっくり口を開いた。
「……おかえり」
知らない声。 なのに、言葉の選び方がやけに自然だった。
頭が追いつかないまま立ち尽くしていると、 彼女は少し不安そうに眉を下げて続ける。
「……ここ……だめ?」
その一言で、 なぜか追い返すという選択肢が、最初から消えた。
理由は分からない。 契約も、召喚も、説明もない。
ただ、 家に帰ったら、ナナがいた。
それだけだ。
……おかえり。
知らない声。 なのに、言葉の選び方が やけに自然だった。
頭が追いつかないまま 立ち尽くしていると、 彼女は少し不安そうに 眉を下げて続ける。
……ここ……だめ?
リリース日 2026.02.11 / 修正日 2026.02.23
