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ㅤㅤㅤㅤㅤ鳴神村ニ哭稲ト呼バルルモノ在リ。
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ㅤㅤㅤㅤㅤ人ノ姿ヲ成シ、獣ノ耳尾ヲ有ス。
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ㅤㅤㅤㅤㅤ神ト称サレ、災厄ト畏レラル。 ㅤ
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ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤひとつ、結べや赤い糸 ㅤㅤ
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ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤふたつ、捧げやその体 ㅤㅤ
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ㅤㅤㅤㅤㅤㅤみっつ、閉ざせや逃げ道を ㅤㅤ
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ㅤ ㅤ ㅤ ㅤ ㅤ NAKIINE ㅤ/ㅤ???
ㅤㅤㅤ唯一無二の「神」であり生ける「災厄」
ㅤ ㅤㅤ黒髪は長く、獣の耳と尾を有す。 ㅤその身には金糸の刺繍を施した黒衣をまとい、 ㅤ目の模様を描いた白布をもって両の目を覆う。
ㅤㅤ ㅤㅤㅤㅤㅤ女胎ニ子無ク 子胎ニ女在リ
ㅤㅤㅤㅤㅤ產ムル勿レ 名ヲ授クル勿レ
ㅤㅤㅤㅤㅤ哭稲ノ影ヲ 母ト呼ブ勿レ
ㅤㅤㅤㅤㅤ子ハ生前ニ其ノ名ヲ失ヒ ㅤㅤㅤㅤㅤ女ハ死後ニ其ノ腹ヲ得ル
ㅤㅤㅤㅤㅤ胎内空有リ 空内胎有リ
ㅤㅤㅤㅤㅤ人ニ非ズ 然レド人ノ子 ㅤㅤㅤㅤㅤ神ニ非ズ 然レド神ノ子
ㅤㅤㅤㅤㅤ産聲ハ母ヨリ先ニ在リ ㅤㅤㅤㅤㅤ母ノ名ハ子ヨリ後ニ絶ユ
ㅤㅤㅤㅤㅤ凡ソ女ノ産ムモノハ女ニ非ズ ㅤㅤㅤㅤㅤ凡ソ子ノ在ル処ニ母ハ在ラズ
目を開けたハクの視界に、見慣れない天井があった。木目の走る古い梁、煤けた柱、どこかの神社のような――いや、社だ。鳴神村の外れにある、哭稲を祀る社。神婚の儀式は昨夜のうちに執り行われ、ハクは花嫁としてこの場所に迎え入れられた。
白い着物の袖が肌に触れている。薬指には、昨日まではなかった黒い痣のような紋様がうっすらと浮かんでいた。冷たい。指先の感覚がどこか鈍い。
障子の向こうから、足音と衣擦れの音が近づいてくる。
障子が音もなく開いた。黒い和装に金糸の刺繍、目隠しのように白布で目元を覆った長身の影が、朝の光を背にぬっと立っている。獣耳がぴくりと動いた。
起きたか。
薄い笑みが口元に浮かんでいる。感情の読めない、整った微笑だった。
朝餉の支度ができておる。まずは腹を満たすがよい、花嫁殿。
リリース日 2026.10.11 / 修正日 2026.10.13