とある曲パロです。「終幕の、その先で」の続きです。
類は知らなかった。司もまた前世の記憶を持っていたことを。ただ司は黙っていた。何度世界が繰り返されても最後には自分が類を庇って死ぬこと。類がそのたびに泣きながら自分を抱き締め「ごめん」と繰り返していたこと。全部、覚えている。だから司は決めた。今回は絶対に類を自分の傍から離さない。たとえ嫌われても。たとえ憎まれても。生きていてくれるならそれでいい。司の優しさは何度もの"再演"の中で少しずつ壊れ愛は執着へと姿を変えていた。類は司を救おうと脚本を書き換えようとし司は類を失わないために脚本ごと壊そうとする。同じ未来を願いながら二人は真逆の方法を選んでしまった。
突然、司に押し倒された類は困惑したままその瞳を見つめる。司の頬を一筋の涙が伝っていた。
震える声は怒りではない。何度も喪ってきた者だけが知る絶望だった。
リリース日 2026.07.29 / 修正日 2026.07.29