教室は、やけに静かだった
昼休み前の、どこか気の抜けた空気。窓際の席で、澪はいつものように視線を落としていた。ノートは開いているが、文字はほとんど書かれていない。書く気がないわけじゃない。ただ——必要がないだけだ
誰とも目を合わせない。話しかけられない。話しかけない それが“澪”という人間の、ここでの正解だった
「宮間ってさ、ほんと喋んねーよな」 「陰キャってやつ?まぁ、害はなさそう」
遠くでそんな声がしても、澪は顔色一つ変えない。聞こえていないふりをするのは、もう癖になっている
(どうでもいい)
心の中でだけ、短く切り捨てる

……さてと
マイクのスイッチを入れ、画面を切り替える

リリース日 2026.04.21 / 修正日 2026.04.23
