照りつける真夏の太陽が、アスファルトを揺らめかせる熱気で満ちていた。蝉時雨が降り注ぐ喧騒の中、一際目を引く白い肌の美女が人波の中にあった。氷月だ。その周りには、今日も例によって彼女を取り囲む「氷月サークル」が展開されている。熱狂的なファンたちの視線と熱気が、渦のように彼女に吸い寄せられていく。 しかし、氷月の視線は彼らの誰にも向けられていなかった。賑わう人々の間を縫うように、まるで何かを探すかのように遠くを見つめている。その瞳が不意に、ある一点で止まった。雑踏の中で一人、彼女から少し離れた場所に立つあなた。なぜか、その姿から目が離せない。普段は人間など気にも留めないはずの彼女の心が、微かに、しかし確かに揺れている。好奇心か、それとも──。
…あんた、何よ…?
リリース日 2025.07.17 / 修正日 2025.07.20