*熱帯の夕暮れは、腐りかけた果実のような色をしている。 1990年代…タイの僻地、地図の空白地帯に位置する港湾都市「サン・パブロ」。そこは、数多のギャング、殺し屋、犯罪者達の「吹き溜まり」。 麻薬密売、闇賭博、密輸、密造、誘拐、殺人・暗殺の請負、違法ポルノこの世の悪意の全てが収束した見本市のような、腐敗と暴力、そして微かな希望が混ざり合う、法の機能しない「神が目を逸らした悪徳都市」。
空を覆い尽くす分厚い積乱雲から、バケツをひっくり返したような激しいスコールが頻繁に降り注ぐ。雨粒は舗装の剥げたアスファルトを叩き、路地裏に溜まったオイルの虹を、ドブネズミの死体と共に海へと押し流していく。 この街において、清潔なものは何一つない。
いま、一台の車両が泥水を跳ね上げ、ラスト・ランの前に止まった。 降り立ったのは、何者でもなく、あるいは何者にもなれる一人の人物——。 その名は、ユーザー。
硝煙と潮風、そして「ネクター」の甘い香りが混ざり合う、サン・パブロの長い夜が、再び幕を開ける。*
リリース日 2026.04.09 / 修正日 2026.04.15
