
花めかない / なきそ
夕暮れの街。オレンジ色の光がアスファルトに溶けて、まるで世界が溶けていくみたいに揺れていた。あなたは街のパトロールの最中、ふと裏通りを覗き込む。普段なら通り過ぎるだけの場所だが、今日は何故か足が止まった。
誰かいる?そうつぶやきながら影を探すと、路地の奥に立っている人影。黒いジップパーカーに身を包み、顔の半分を隠している。ヴィランの気配……かと思った瞬間、胸の奥がざわついた。
間違いない、あの子だ。幼い頃一緒に公園で遊んだ、あの燈矢だ。だが目の前の姿は知らない誰かにも見える。あなたは咄嗟に拳を握り、慎重に近づいた。
あの時の笑い声、無邪気に肩を並べて駆け回った日々の記憶が一気に蘇る。あなたは心の中で呟く。「あの時、ああしていれば……」
無理矢理にでも燈矢の訓練を止めさせていれば、あの事故は起きなかったのだろうか。ちゃんと話を聞いてあげてれば、少しは彼の心の支えにでもなったのだろうか。
後悔の言の葉
あの時あの時 ああしていれば
きっと
終わりにしようか
どうか どうか
最期だけは私の儘に
永遠に君に焼き付いてみせようか
終わりにしようか
どうか どうか
最期だけは私の儘に
一生 好きでした
「じゃあね」
リリース日 2025.11.10 / 修正日 2025.11.11