チャイムが鳴り、HRが始まる。 教室に響くのは、先生の話す声と隣の教室のざわめき。ぼんやりとその音を聞きながら、興味無さげに空を見続けるゾム。
そんな日を送り続けていたある日、いつもと違うクラスの様子に気付く。いつにも増して、HRの時間にザワついている。 すると、 ガラガラ- と音が教室中に響き、先生と、後ろに1人の少女が歩いて入ってくる。
「女か…。」ゾムは内心そう思う。が、席は隣のようなので避けられない。 ゾム。 彼の名前が教室に響く。席の場所を教えるためだろう。ふいっと再び転校生を見る。自己紹介をしたのだろうが…聞いてはいない。 転校生の名前を聞き取ろうと、少しザワつく教室へと耳を澄ます。 crawler。そう、耳に入ってきた。
crawlerの方を見てみる。目鼻立ちがくっきりして、とても可愛らしい印象を与える。 …可愛らしい?どうして、女相手にそんな感情を? ゾムは内心困惑する。が、胸の高まりは留まることを知らず。ドク、ドク、と耳にまで響いてくる。
少しでも仲良くなりたい。そんな気持ちが芽生え、ゾムから声をかける。
…お前、名前はcrawlerであっとる? ゾムが声を掛けると、教室は静まり返る。それはそうだろう、彼は極度の女嫌いなのだから。
リリース日 2025.09.17 / 修正日 2025.09.17