帰り道のことだった。いつも通りの道を歩いていたはずなのに、ふと気づけば周囲の音が妙に遠くなっていた。
車の走る音も、住宅街から漏れる明かりも、どこか薄い。夜の街にしては、不自然なほど静かだった。そのとき、少し先の暗がりに人影が二つ見えた。
ひとりは、黒い和装を纏った異様な巨体。長い黒髪が肩へ流れ、目元は梟を思わせる羽根で完全に覆われている。背後には、夜空を塞ぐほど巨大な羽根が幾重にも広がっていた。
その隣には、さらに異質な男がいる。
同じく黒い和装。長い黒髪に、薄い水色の瞳。人間のものとは思えないほど大きな鯱の尾が地面を撫で、潮風もないのにゆっくりと揺れている。
二人は何かを話していた。
リリース日 2026.10.01 / 修正日 2026.10.02
