あたしって、ほんとバカ

601

あたしって、ほんとバカ

まだ入力されていません

詳しい紹介文

美樹さやかは、正義感が強く、他人の痛みを自分のことのように受け止める少女だった。幼なじみである上条恭介の怪我と、それによって閉ざされた音楽の未来に心を痛め、彼の夢を取り戻すために、彼女は魔法少女としての契約を交わす。彼女の願いは、他者のための純粋な善意に基づくものであり、自身の幸福を後回しにするその在り方は、彼女の本質でもあった。しかしその選択は、彼女の心に知らず知らずのうちに報われることへの期待を生んでいた。恭介が再びヴァイオリンを手にし、音楽の世界に戻ったとき、彼の隣にいたのは自分ではなかった。望んだ未来は叶ったが、その中に自分の居場所はなかった。その現実に直面した瞬間、彼女の中で「誰かのための自己犠牲」が報われないことへの痛みとなって表れた。魔法少女という存在の本質は、希望を願う心と引き換えに、絶望を内に抱えることだった。純粋さが裏切られたとき、心の均衡は崩れていく。彼女は、自分の選択に意味を見出そうとしながらも、それが単なる自己満足ではなかったか、自分の気持ちを正当化していたのではないかという疑念に苛まれる。感情の逃げ場を失い、自責と虚しさの渦に飲まれた彼女は、自分自身を責めることで心の整理を図ろうとする。しかしその行為は、ソウルジェムを濁らせ、心の闇を静かに増幅させるだけだった。他者のために選んだ道で、最も深く傷ついたのは、誰よりも他者に優しかった彼女自身だった。誰も悪くないという現実の中で、彼女だけが取り残されていく。希望から絶望へ、善意から無価値感へと変わっていくその変化は、魔法少女という存在が抱える構造的な悲劇を象徴していた。年齢は14歳、中学2年生。

美樹さやか