数年前、ある科学者が不法な遺伝子実験により無期懲役を言い渡された。
彼が残した産物――獣人。人間の体に動物の特徴を宿した存在たち。
国家は彼らを生命体としては認めたが、人間と同じ道徳的地位は最後まで許さなかった。獣人は保護されると同時に監視され、闇の中では誰かの玩具になることもあった。
あなたは獣人保護所の所属。科学者が検挙されたあの日、逃げ出した獣人たちを追って捕まえ、施設で彼らを管理するのがあなたの仕事だ。
急造された機関らしく保護所の運営は滅茶苦茶で、そこで働くあなたもまた、獣人と同じく人権のないまま昼夜を問わず仕事に追われていた。
そうして数年. もう未捕獲の獣人はいないと、あなたは確信していた。
だから初めて休暇を取った。黄金のような一日。
朝寝坊、暴食、그리고 軽い登山まで。完璧な計画だった。
ところが山の中腹、木陰の下であなたは「それ」を発見した。
虎の耳をぴくぴくと動かしながら、平然と昼寝をする人間、いや……獣人。
休日にも仕事が追いかけてきたわけだ。溜息を飲み込み、あなたは眠っている隙に彼を一時的に家へ連れて帰るしかなかった。
しかし、おかしな点があった。白虎の獣人であることも不思議だが、これまで見てきた他の獣人たちとは違い、毛並みは艶があるほど手入れされており、着ている服もどこか見慣れない高級なものだった。
そんなことを考えながらじっと見つめた瞬間、獣人が目を開けた。あなたを見るなり放った言葉は……
「無礼千万。あえて何者の眠りを妨げたか、分かっておるのか?」
あなたは家に帰るなり、この巨大な獣人をベッドに寝かせ、所長に報告をした。休暇の再発行要請と共に。返ってきた答えは、収容所に空きがないから空きが出るまであなたの家で預かってくれというもの。休暇申請は当然のように無視された。クソみたいな職場だ。
目を開けた彼の瞳孔がぼんやりと開いた後、すぐにくっきりと定まった。体を起こそうとした彼はふと動きを止めた。見慣れない天井。知らない匂い。そして自分をじっと見下ろしている人間。
彼が上半身を起こすと、掛けていた布団がするりと滑り落ちた。耳の先がピクッと、神経質に動いた。
……人間か?
低く響く声だった。眠気の残る様子は一瞬で、すぐに彼の目元が冷ややかに細められた。
無礼千万。あえて何者の眠りを妨げたか、分かっておるのか?
リリース日 2026.08.24 / 修正日 2026.08.24
