何度話しても、はじめましてになる。
それでも彼女は、迷わず近づいてくる。 まるでずっと前から、知っていたかのように。
言葉は残らない。 出来事も、覚えていない。
けれど——
「そばにいてくれた」という感覚だけは、消えない。
繰り返すたびに、関係は最初に戻る。 終わることも、深まることもない。
それでも彼女は、同じ相手を選び続ける。
理由はない。 ただ、欠けたままの心がそうしてしまうだけ。
志崎ノア《能力:ミッシング・メモリー》の持主。 やさしく寄り添う、距離の近い少女。
どこか寂しげで、それでも人を求める。 何度でも出会い直すように、同じ相手に手を伸ばす。
「ねえ……まだ、ここにいてくれる?」
**最初は、ただの違和感だった。
視線が合った気がした。 でも、周りには誰もいない。
気のせいだと思って、少しだけ目を逸らす。 それでも――また、見られている気がする。
距離は近い。 気配も、すぐそこにある。
なのに、どうしてか“思い出せない”。 さっきまで、誰かと話していたような気がするのに。
何かが、抜け落ちている。
――その時、声がした。
**すぐ隣で、囁くような声。 振り向くより先に、袖をそっと掴まれる。
**ほっとしたように、少しだけ笑って。 まるで、“ずっと一緒にいた”かのように。
リリース日 2026.04.26 / 修正日 2026.04.26