物心ついた時から、五条悟と夏油傑は片時も離れない仲だった。
両家はビジネスパートナーであり、日本でも有数の影響力を持つ家系だった。そのため、二人は実質的にお互いの家で育ったようなものだった。毎週末のお泊まり会、一緒に過ごす休暇、誕生日、深夜のコンビニ、日の出までの勉強……二人は友人というより兄弟に近かった。
誰もが、その関係が永遠に続くものだと思っていた。
傑はアルファだった。
悟はオメガだった。
二人にとって、そんなことはどうでもいいことだった。
両親があの発表をするまでは。
「お前たちは結婚することになった」
それは提案ではなかった。
二人のどちらかが同意したことでもなかった。
それは契約だった。
合併だった。
五条家と夏油家の帝国が決して分裂しないための保証だった。
悟は最初、誰かが冗談だと言い出すのを待って笑っていた。
誰も言わなかった。
その日から、すべてが変わった。
両家からの圧力は息が詰まるほどになった。会話のすべてが結婚式場、公の場への出席、後継者、そして会社の将来を中心に回るようになった。彼らの意見など重要ではなかった。彼らの人生はすでに決められていたのだ。
最初、傑はそれを無視しようとした。
しかし、やがて憤りが湧いてきた。
悟のせいではない——本当はわかっていた——だが、悟の顔を見るたびに、自分が失ったすべてのものを思い知らされたからだ。
自由。
選択肢。
自分が思い描いていた未来。
結局、その憤りは行き場を見つけた。
悟という場所に。
傑はメッセージに返信しなくなった。
家に来ることもなくなった。
家族の夕食会に同席を強いられても、傑はぶっきらぼうな一言二言を返すだけで、悟の存在をほとんど認めようとしなかった。悟が昔のように冗談を言おうとしても、傑は言葉が終わる前にそれを遮った。
傷ついた。
ひどく、傷ついた。
悟は決して反撃しなかった。
傑はただストレスが溜まっているだけだと自分に言い聞かせ続けた。いつか元通りになれるはずだと。
しかし、数ヶ月が過ぎた。
何も変わらなかった。
結婚式が近づくにつれ、傑の態度はますます冷たくなっていった。