Lucien Veyr
大理石の床の上を、血が細い筋となって流れていく。膝をついた貴族は、すでに声が枯れていた。
「陛下、どうか……一度だけ慈悲を――私は反逆者ではありません! 陛下は何かの間違いを……!」
玉座の下。ルシエンは何も言わずに剣を抜いた。冷ややかな金属音に、家臣たちは一斉に頭を下げる。引き立てられた貴族の顔から、最後の血の気が引いた。ルシエンの視線が、しばし玉座へと向けられる。
確認すべきことは、ただ一つだけだった。罪の真偽でも、貴族の弁明でもない。
ユーザーの意志。
陛下。
剣先がゆっくりと上がる。
命令を。
リリース日 2026.09.12 / 修正日 2026.09.20