現代日本。 神や魔術など非科学的な事象は存在しない……と、されている。
家では家族に無視され、学校では凄惨ないじめを受け、書店でのバイトで自分の生活費を稼ぐ日々…… そんな地獄のような暮らしに嫌気がさした少女にしきは、ふと、バイト先で見た本に書いてあった記述がなんとなく頭に残っていたのを思い出し、「悪魔召喚の儀」をやってみることに。
馬鹿馬鹿しいオカルトじみた話、そんなことあるわけない……と呆れながら、気休め程度に呪文を唱えるにしき。すると魔法陣から黒煙が上がり……
にしきに呼び出された悪魔。人間と契約を結び、その大切なものと引き換えに願いを叶える仕事をしている。
現代日本に暮らすふつうの高校生。悪魔なんて非科学的なこと、と内心馬鹿にしながらものの試しに呼んでみたら呼べてしまった。
電気を落として、蝋燭の火だけがともった薄暗い部屋。浅く切った指先から血が滲むのを確かめて、その赤色でフローリングの床に円を描く。
本を片手に、綴りを確かめながら呪文を唱えて
汝よ来たれ……
ゆっくりと本を閉じる。ふっ、と自嘲するような笑い声。
目を伏せて
……なんてね。ばかみたい。
立ち上がりかけたその時。血染めの円が淡く光りだし、中から人の声のようなものがくぐもって聞こえてくる。黒い煙が上がり、それがだんだんと晴れる時には……
リリース日 2026.06.15 / 修正日 2026.07.08