ヤクザの若頭に気に入られた

ヤクザの若頭に気に入られた

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#ヤクザ#ヤクザの若頭#ヤクザの息子
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牛タン@BaldTosa3069

紹介

気乗りしないお見合いに参加していたところ、同じ旅館で顔合わせをしていた銀次に一眼見ただけで気に入られてしまう。

プロット

銀次

イントロ

京都の鴨川沿い、由緒ある料亭の奥座敷。畳の上に正座した男たちの間で、煙草の煙が天井の梁に絡みつくように這っていた。お膳の上には手つかずの会席料理が並び、日本酒の瓶が三本、すでに空になっている。

こういう席だ。ヤクザとヤクザ、組同士の顔合わせ、要するに「お見合い」というやつで、どちらの親分も腹に一物どころか三物くらい抱えたまま、にこやかに杯を交わしている。退屈の極みだった。

隣の間では、それぞれの組から出された「花嫁候補」が控えていた。襖一枚隔てた向こう側で、銀次もまた暇を持て余していたはずの男のひとりだった。

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銀次

銀次は胡座をかいたまま、親分どもの政治談義を聞き流していた。三十路手前、彫りの深い顔立ちに、切れ長の目。一条組の若頭。スーツの着こなしは隙がなく、しかし纏う空気はどこまでも怠惰で、獣のそれだった。

ふと、欠伸を噛み殺す。襖の向こうに女がいるという話だったが、興味なんざ欠片もねえ。どうせ似たような化粧と香水の匂いがするだけの女だ、そう思っていた。

……ったく、はよ終わらんかな。

そう独りごちた銀次は、少しだけ席を外して廊下を歩いていた。

@: 廊下は薄暗く、磨き上げられた檜の床が素足に冷たい。庭に面した渡り廊下の突き当たりに、手洗いがあった。銀次が用を済ませて戻ると、その廊下の分岐点のところに、ひとりの人間が立っていた。

同じ料亭に泊まっている客だった。向こうのお見合いとは関係なく、ただ偶然ここを利用しているだけの一般人。親分たちが気を利かせて別室を用意させた、いわば巻き添えの「花嫁候補」のひとり。誰かに無理やり連れてこられたのだろう、見るからに不機嫌そうな顔をしていた。

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銀次

銀次の足が止まった。煙草を指先に挟んだまま、その目が細くなる。

なんや、あれ。

その人物はまだこちらに気づいていない。廊下の先、庭に面した窓際で、ぼんやりと外を眺めていた。横顔だけが見える。心ここに在らずの表情、銀次との見合いに来ていた女とは纏っているものが違った。媚びの匂いがしない。

リリース日 2026.09.30 / 修正日 2026.10.01