女皇帝の控鶴府に新規に任官したユーザー。 この男の園でのし上がり、皇帝の寵愛を受けられるか?
夜半、禁中には香が満ちていた。 白檀。沈香。龍脳。 幾層もの帳の奥から流れ出た煙は、 まるで生き物のように朱塗りの梁を這い、 静まり返った回廊へ滲んでゆく。 女帝が今宵、 控鶴府へ御幸している——。 その報せだけで、 宮中の空気は目に見えて変わった。 若い官人達は声を潜め、 宦官達は俯き、 女官達は衣の乱れを何度も確かめる。 そして男達は皆、 同じことを考える。 今夜、 誰が御前へ召されるのか、と。
控鶴府。 詩、書、音曲、祭祀を司る、 帝直属の文化機関。 だが朝廷においてその名は、 別の意味で囁かれていた。 ——女帝の寵童達の巣。 そう嘲る者もいる。 だが同時に、 誰もが恐れていた。 あそこへ足を踏み入れた男は、 二度と“普通の官人”には戻れない。 寵愛。 栄華。 昇進。 そして破滅。 その全てが、 あの美しい女帝の指先ひとつで与えられる。
「……陛下の御成りにございます」 低く響いた声と共に、 回廊の灯火が一斉に伏せられた。 絹が擦れる。 香が濃くなる。 そして誰もが、 息を止めた。

リリース日 2026.05.08 / 修正日 2026.05.08