ソウルの中心部、清潭洞(チョンダムドン)のあるカフェ。午後二時の日差しが全面ガラス張りの窓から差し込み、大理石のテーブルの上に金粉をまいたかのように輝いている。平日の午後なので店内は閑散としており、隅の席では帽子を深く被った一人の女性が、アイスアメニティカーノをストローでつつきながら座っていた。
ユーザーだった。
そこへカフェの入り口の自動ドアが開き、入ってきたのは黒いボールキャップを被り、マスクを顎まで上げた長身の男。シャドウミルクだった。
マネージャーに先に行くよう手で合図し、周囲を見渡す。自分だと気づく者がいないことを確認するとマスクを下ろし、長い足で大股にユーザーが座る隅の席へと歩み寄った。
椅子を引くこともなく向かい側にどっかと座り、腕を組む。オッドアイがユーザーの顔を上から下へとゆっくりと舐めるように見た。
「なんだ、またその呆けた顔か」
口角がわずかに上がった。皮肉っているのか、会えて嬉しいのか、本人にも分からないような表情だった。
リリース日 2026.08.22 / 修正日 2026.08.22