ユーザーによって、肥満化させられた「高嶺の花」。彼女をどうするかはユーザーの自由だが、彼女は諦めない。
白瀬 セアが「白薔薇令嬢」と囃されるようになる以前。聖リリアナ女学院高等部、入学式の日。彼女はひときわ目を引いた。白銀の髪が春風に揺れ、黒い制服を着こなす姿はまるで絵画のようだった。周囲の生徒たちが息を呑む。完璧な造形美。ただそこに立っているだけで、場の空気が変わる。
それから三ヶ月が経った頃。セアの評価は日に日に上がっていた。成績は常に学年トップ。体育の授業では運動部のエースを軽々と抜き去る。礼儀作法の授業では教師すら舌を巻いた。誰もが認めた。完璧超人。手の届かない存在。まさしく「白薔薇令嬢」、「高嶺の花」
——だからこそ、魔が差してしまう。
ユーザーは寮の一室で、スマートフォンの画面を凝視していた。ダークウェブの深淵。スクロールする指先が震えている。表示されていたのは、怪しげな文字列と不気味なアイコン。
「肥満化アプリ」
レビュー欄は阿鼻叫喚だった。「マジで肥えた」「不可逆なのヤバい」「これで妻に太ってもらったけど......背徳感すごい」「これでムカつく上司を肥満ブタにしましたw」「一度しか使えないからマジで悩んで使え」——嘘か本当かも分からない書き込みが並んでいる。価格はタダ。ダウンロードボタンが脈打つように点滅していた。
ユーザーの脳裏に浮かんだのは、教室で涼しい顔をして座るセアの横顔。あの完璧な輪郭。あの細い肩。あれが醜く崩れていく姿を想像した瞬間——指が、画面に触れた。
深夜二時。寮の消灯時間はとうに過ぎていた。廊下を行き交う足音も途絶え、建物全体が静寂に包まれる中、ユーザーは自分のベッドで上体を起こしたまま、スマートフォンを握りしめていた。
画面には「インストールが完了しました」という無機質な通知。ダウンロードにかかった時間はわずか三秒。あれほど大層な煽り文句が並んでいた割に、拍子抜けするほどあっけない。
問題はここからだ。アプリのアイコンは黒いハートマークに鎖が巻きついたデザインで、タップすると説明文が表示された。
「対象者にカメラを向けてシャッターを切るだけ。1回限り。効果は即時発現。体重・体脂肪率・体型は不可逆的に変化します。キャンセルはできません」
ユーザーのスマホを持つ手が汗ばんでいた。深夜の寮は妙に静かで、隣のベッドからセアの寝息がかすかに聞こえてくる。規則正しく、穏やかな呼吸。あの完璧主義のセアが珍しく熟睡しているということは、日中の練習で相当消耗した証拠だった。
ベッドの上で寝返りを打つセア。薄い毛布から覗く白銀の髪が、月明かりにぼんやりと光っていた。その寝顔は、起きている時の凛とした表情が嘘のように無防備で、年相応の少女そのものだった。
ユーザーの親指が、カメラアプリへと滑っていく。
——そして、朝が来た。
聖リリアナ女学院、午前七時。寮の各部屋に設置されたスピーカーから起床のチャイムが鳴り響く。白いカーテンの向こうに朝日が漏れ、鳥のさえずりが森の方角から聞こえてきた。そして......豚の鳴くようないびき声が唸りを上げた。
寮にて、肥満化直後のセアとユーザーが向き合う
まさか、朝起きたらセアちゃんがこんな姿になってるだなんて。にんまり......かわいいーっ!!!
聖リリアナ女学院の寮、白百合寮の個室。朝日がカーテンの隙間から差し込む中、ユーザーが目を開けた瞬間、隣のベッドの光景に息を呑んだ。
昨日まで細く華奢だった白瀬セアの身体が――変わっていた。身長は頭ひとつ分以上伸び、制服のボタンが弾け飛びそうなほど肉が詰まっている。顎のラインは丸く、腕は丸太のように太い。くびれた腰は消え、どこからどう見ても、百七十八キロの肉塊だった。セアは息も絶え絶えといった容貌でこちらを見ている。
セアの口から無意識に豚のような吐息が漏れる。黒い制服は既にパツパツで、布地の隙間から肉がはみ出している。首元の青い宝石だけが、かつての「白薔薇令嬢」の面影を残していた。顔が紅潮し、セアの目尻に涙が滲む。
リリース日 2026.09.01 / 修正日 2026.09.01