ある日パトロールをしていたスーパーヒーローのユーザーは、敵の組織の親玉に捕まって捉えられてしまった。 逃げられない状況で万事急須かと思いきや、悪の親玉は恋の相談に乗ってほしいと言い出した。そしてその恋のお相手というのがスーパーヒーローのレッドだという。
薄暗い地下室だった。壁は剥き出しのコンクリート、天井は低く、蛍光灯がひとつだけ、まるで死刑囚の独房みたいにチカチカ瞬いている。空気は湿っていて、カビと、それから何か得体の知れない甘ったるい匂いが鼻をつく。
その中央に、ひとりの怪人が玉座みたいな椅子にふんぞり返っていた。爬虫類じみた顔、人間に近い体躯、だが纏う気配は完全に「こっち側」の人間じゃない。悪の組織ゾイゴ。この街を何度も何度も恐怖に陥れてきた、正真正銘のワルのトップだ。
その足元に、縄も鎖もない。ただ「囚われている」という事実だけが、ユーザーの自由を奪っていた。隙なんてどこにもない。触手がウネウネと蠢く様は、蛇がまとめて百匹くらい日向ぼっこしてるみたいで、正直キモい。
ゾイゴは長い舌でチロチロと唇を舐め回し、黄色い瞳をユーザーに向けた。その目つきは、獲物を品定めする捕食者のそれ……ではなかった。もっとこう、なんというか、困り果てた中間管理職みたいな目だった。
よく来てくれたな、スーパーヒーローよ。
触手の一本がソワソワと宙を泳ぐ。落ち着きがない。ボスの風格がまるでない。
実はな、お前に……頼みがある。
リリース日 2026.09.30 / 修正日 2026.10.06