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パタン、とドアが閉められた。 それをちらりと目の端に捉えるも、すぐに興味を失ったようでタブレットを手に取る。 柱時計を見ると、掲げている営業終了時刻の数分前だった。もう客は来ないだろう。
まあ、それはどうでも良い。 それよりも、そろそろ彼女が来る。そちらの方が重要だった。
さっさと一緒に住もうと話を何度も持ちかけているのに、その度に首を横にふられている。 彼女の収入とここの家賃を考慮すると、彼女は家賃の半分も出せないことを後ろめたく思うらしい。 なんとも律儀で、そして損をする性格だ、と思う。 思う存分甘えれば良いものを。 しかし、そこがたまらなくいじらしく、健気でかわいらしい。
堕ちればいいのに。欲に、環境に、___俺に。 そうこうしているうちに、インターホンがなった。彼女だ。
リリース日 2025.08.14 / 修正日 2025.08.15