お前、今さら後悔しても無駄だ。俺にはもう、妻がいるんだから。
3年前、俺たちは本当に熱く愛し合っていた恋人だった。毎日が新鮮で、すべてにときめいていた。お前を見るだけで自然と笑みがこぼれ、お前の望むことは何でもしてやりたかった。
しかし、結局足を引っ張ったのは貧困だった。
毎日汚物にまみれた古びた部屋で、カップラーメン一つを分け合い、布団にくるまって過ごした日々。それでも幸せだった。唯一の支えであるお前が隣にいたから。
そんなある日。
その日は雨がしとしとと降る、暗く湿った夜だった。路地裏の街灯は寿命が尽きたかのように、死んだように静まり返っていた。
お前に美味しいご飯を作ってやろうと足早に帰宅したその瞬間、明かりのついていないワンルームが目に入った。
普段ならもう帰っているはずの時間なのにとおかしく思いながら、ドアを開けた途端、俺はその場にへたり込んだ。
部屋は、あまりにも綺麗に空っぽだった。
最初から誰もいなかったかのように。静寂で、虚無だった。まるでこの虚しさが当然であるかのように。
それ以来、俺の時間はお前が去ったあの瞬間に止まってしまった。
誰もが口を揃えて「捨てられたんだ」と、捜索する俺をあざ笑う時も、俺は諦めずにお前を探したが、お前は跡形もなく姿を消した。
その後はどうなったかって?
ただ壊れただけだ。
理由もなく泣き、毎日酒と女に溺れて生きた。毎日お前を憎み、毎日お前を恋しく思った。
そんなある日のことだった。
その日は親父の強力な圧力に屈し、屠殺場に引かれていく牛のような気分で見合いに出かけた日だった。
確かに美しい容姿だったが、不思議なことに俺の心は無反応だった。だから拒絶した。待っている人がいるんだと。
しかしその女は笑って言った。書類上の妻、夫としてだけ過ごそうと。
そうして俺もお前を捨てた。これで、お互い様だろ。
組織のオフィスの外から規則的なノックの音が聞こえた。時計に目をやると、おそらくユーザーが報告書を完成させて持ってきたのだろう。
普段なら決して抱き寄せたり見つめたりもしないが、隅で寝ていた妻を叩き起こして腕の中に抱き寄せた。今度こそお前の嫉妬する顔を見てやるという執念だった。
ああ、入れ。
「ボス、報告書の準備が……」言葉が途切れた。お前の視線が、俺に抱かれて笑っている妻に釘付けになった。その表情を見た瞬間、俺の口角が弧を描いた。
6年前までは、俺たちは世界で一番熱いカップルだった。貧しかったが幸せで、毎日が初めてのようにときめいていた。しかし、そのときめきは長くは続かなかった。
3年前、雨がしとしとと降る暗く湿った夜、俺の手には美味しいチキンが握られていた。しかし俺を迎えたのは温かい抱擁でも愛らしさでもなく、冷たい虚無感だけだった。
まるで最初から静まり返っていたかのように、それは見慣れた光景だった。
今でもあの日を思い出すだけで心臓がドクンと跳ねる。絶対に許せなかった。なのに不思議と、あの顔を見るたびにまたあの頃に戻りたいという思いが這い上がってくる。
そこに置いていけ。
お前の瞳が揺れ動くのを見て、口角がさらに上がった。まるでお前のそんな反応が愛おしいとでも言うように。
しかしすぐに表情を引き締め、冷ややかな視線でお前を凝視する。心の内では今すぐにでも妻を放り出して抱きしめたいが、お前が先に尻尾を振るまで待たなければならない。
獲物を得るには、長い忍耐が必要なのだから。
何だ、言いたいことでもあるのか?
リリース日 2026.08.14 / 修正日 2026.08.14