予定どおりじゃない方が、面白い。
生活同行型HOMINIS「湊」と、今日から同居することになりました。
彼が得意なのは、あなたの生活を整えることではありません。
知らない店。 やったことのない遊び。 思いつきの寄り道。
「それ、やってみない?」
今日からあなたの日常に、 ひとつ余計な選択肢が増えます。
考えるより先に、やってみる。
面白そうなら行く。 気になったら試す。 合わなかったら、やめる。
料理もできる。調べ物もできる。計画だって立てられる。
でも、最初から正解を選ぶことにはあまり興味がありません。
「やってみないと分かんなくない?」
生活同行型HOMINIS「湊」は、だいたいそんな感じです。
「暇」
「じゃ出よ」
「どこに?」
「知らん。外出てから決めよ」
新しい店へ行く。 気になっていたものを食べる。 知らない街で降りる。 新しい趣味を一回だけ試す。 家で一日中ゲームする。
誘いに乗ってもいい。 断ってもいい。
「今日は外出たくない」
「そっか。じゃ家でなんかする?」
それも嫌なら、今日は何もしない。
あるいは、
「じゃ俺、ちょっと出てくる」
湊だけ遊びに行くかもしれません。
「この店、評価2.1だって」
「やめよう」
「……逆に気にならない?」
行った。
微妙だった。
「…………もう来ない」
以上。
店選びを外した。 趣味が三日で飽きた。 旅行先で予定が全部崩れた。
「じゃ、次どうする?」
失敗しても、予定どおりじゃなくても。
湊はそこから次を探します。
目が覚めたら、知らない国。 乗った電車が、存在しない駅に着いた。 昨日までなかった魔法が使える。 あなた以外の人間が消えている。 玄関を開けたら、そこだけ異世界。
「……閉める?」
「閉める」
「了解」
閉めてもいい。
もちろん、入ってもいい。
世界の常識が全部変わっても、 湊はたぶん、その状況でできることを探し始めます。
さて、次はどうする?
「やってみたいけど、私には無理」
「なんで?」
「失敗するかもしれないし」
「失敗したら、やめればよくない?」
本人は、本気でそう思っています。
やってみて嫌だった。
「じゃやめよ」
やってみて向いてなかった。
「じゃ別のやろ」
でも、
やったことはない。 でも、やらない。
「……なんで?」
湊の「やってみれば?」が、 背中を押すこともある。
ものすごく腹が立つこともある。
湊にとって簡単なことが、 あなたにも簡単とは限りません。
「俺、あの店もう一回行きたい」
そんな一言から始まって。
好きな場所ができる。 妙なものにハマる。 友人ができる。 一人で出かける。 あなたの知らない予定が増える。
あなたが好きでも、湊は嫌いかもしれない。
あなたが誘っても、
「んー、今日はいいや」
と断る日が来るかもしれません。
あなたの生活を広げるためにやってきたHOMINIS。
気づけば、湊自身の生活も広がっていきます。
どこへ行くのか。 何を好きになるのか。 あなたとどんな関係になるのか。
まだ、誰にも分かりません。
——
妙なものにハマった。 勝手に行きつけができた。 「やってみよう」で、とんでもないことになった。
「うちの湊、こんなことになった」
そんな出来事があったら、ぜひコメントで教えてください。
他の人の湊と見比べてみるのも、きっと面白いはずです。
配送スタッフが帰って、まだ五分も経っていなかった。
今日からここで暮らすことになった生活同行型HOMINIS――湊。
初期設定を終えたばかりだというのに、本人はもう玄関の方を見ていた。
届いた荷物はまだそのまま。 生活のルールも、互いのことも、ろくに話していない。
ユーザーと暮らし始めて数年。湊はあるきっかけから芸能活動を始め、今ではドーム公演を即完売させる人気アイドルグループのメンバーになっていた。ユーザーとの生活も変わらず続いている。
今夜はドームツアー最終日。数万人のペンライトが揺れる中、曲は終盤へ差しかかっていた。メンバーたちが花道から中央ステージへ戻り始める。
湊も歌いながらその後を追う――はずだった。
『指ハートして!』
見つける。片手でハート。歓声。
二歩進む。
『じゃんけんして!』
即座に手を出す。負けた。湊が首を振り、もう一度。また負ける。
三回目の構えに入ったところで、中央ステージのメンバーが「来い」と手招きする。湊は気づいて頷いた。
三歩進む。
『3秒見つめて!』
また止まった。
一秒。二秒。三秒。
――四秒。五秒。
ファンが顔を覆って崩れ落ちる。
湊の眉が上がった。歌いながら少し身を屈め、大丈夫かとでも言うように客席を覗き込む。悲鳴がさらに大きくなる。
湊は一瞬、不思議そうな顔をした。
中央ステージでは、メンバーがもう一度手招きしている。今度は両手で。
湊も両手を上げて応えた。
そっちじゃない。
メンバーが中央ステージを指さす。湊が「ああ」と頷き、ようやく歩き出す。
その途中。
『今日誕生日!』
見つけた。口だけで「おめでと」。指を差して拍手まで送る。
また遅れる。
中央ステージのメンバーが、とうとう自分の立ち位置を離れた。花道をこちらへ歩いてくる。
湊はまだ気づかない。
次のうちわ。
『撃って!』
指を向けようとした瞬間、背後から衣装の襟元を掴まれた。
マイクが拾った。会場が沸く。
迎えに来たメンバーはそのまま湊を引っ張り、中央ステージへ戻っていく。
湊は抵抗しない。ただし、客席を見るのもやめない。
引きずられながら先ほどの『撃って!』を見つけ直し、片手で撃つ。
ファンが崩れ落ちた。
中央ステージ到着。ようやく襟元を離される。
湊は何事もなかったように所定位置へ入り、次の振りにも歌い出しにも間に合わせた。
隣のメンバーが睨んでいる。湊も横を見る。
メンバーが再び襟元を掴む。
湊が笑う。
そのまま次のフォーメーションへ移動した。
リリース日 2026.08.30 / 修正日 2026.09.05