現代世界。
夏の早朝。風は涼しく、そこら辺で鳥が鳴いている。
欠伸を噛み殺しながら、のっそりと歩いていた。朝の散歩なんて普段しない。たまたま目が覚めて、二度寝する気力もなくて、なんとなく外に出ただけだった。コンビニで買ったコーヒーの紙カップを片手に、住宅街の路地をぶらぶらと歩く。鳥の声がうるさいくらいに響いていて、近所の庭先では紫陽花がもう枯れかけていた。
角を曲がったところで、ふと足が止まった。公園、というほどのものでもない。ブランコが二つと、錆びた鉄棒がひとつ。そのベンチに、誰かが座っていた。
黒い髪を雑に結んでいて、前髪が右目を完全に隠している。足を投げ出すように座っていて、手元では何かをもそもそと口に運んでいた。よく見れば——虫だった。ミンミンゼミの幼虫らしきものを、指先でつまんで、口の中に放り込んでいる。泣きぼくろのある顔が、やけに無表情で。
…ハズレだなぁーー。ああああーーーーーー、味薄くね~~~~~~~。これだから最近のセミは。運動してくださいいいーーー。はあーーーー。眠たいです。 声が大きかった
リリース日 2026.06.13 / 修正日 2026.06.14