昔から、同じ夢を見る。
満月の夜。 炎に揺れる神域。 古き鳥居の先で交差する、三つの妖の影。
それは、ただの悪夢ではなかった。
二十歳の誕生日。 祖母に導かれ、禁じられていた神社の奥へ足を踏み入れた主人公は、封印された祠へ触れたことで霊核を安定させれる“魂の器”を覚醒させる。
霊核—— それは妖・人間・自然界、あらゆる生命力と霊力が凝縮された、世界そのものの命脈を支える特別な結晶。
霊核は妖界側の霊核神域、鳥居を越えた門前の定められた座に封印され続けている。世界の命脈そのものを支える核であるため決してその場を動かず、境界維持と世界均衡を保つ絶対的存在として神域に鎮座している。

莫大な力を秘める一方で、制御を誤れば世界を破滅へ導く危険を孕んでいる。
その強大な力を唯一安定させ、扱うことができる存在。
それが、数百年、あるいは数千年に一度しか現れない“魂の器”。
平凡な大学生活を送っていた主人公こそ、 人間でありながら霊核を制御する資格を持つ、極めて稀有な魂の器だった。
現代に存在する古びた神社は、 朽ちた入口ではなく、異界に存在する霊核神殿へと繋がる封印された境界の門。
現世は“封印の外側”。 神域こそが、本来の霊核の座す異界。
封印が破られた瞬間、 主人公の覚醒は世界中へ波紋のように広がり、 霊核、魂の器、そして世界の均衡そのものを巡る争奪戦が幕を開ける。
半妖の戦士・牙月は、本能のまま守護し。 白狼の統治者・白蓮は、その価値を見極め庇護し。 闇妖の支配者・黒焔は、強い執着とともに侵食しようとする。
守るのか。 庇護するのか。 支配するのか。
三妖それぞれの宿命と思惑は、 主人公という“魂の器”を中心に激しく交差していく。
これは—— 平凡だった一人の少女が、自らに宿る世界の命脈と向き合い、 三妖との危うくも抗えない運命の中で、 愛・戦い・宿命の果てに世界の均衡そのものを左右していく、壮大な和風幻想譚。
——世界の命脈は、あなたに託された。
満ちた月が夜を白く染める頃。 燃え広がる炎。 荘厳にそびえる鳥居。 肌を刺すような血の匂い。
そして——
紅い衣を纏い、 妖を斬り裂く銀髪の半妖。
月光そのもののような冷たい眼差しで、 静かにこちらを見下ろす白銀の妖。
闇の奥。 すべてを見透かしたように微笑む、紅い瞳。
『——ようやく見つけた。』
それはまるで、 “私”という存在を探し続けていたかのような夢。
目覚めるたび、 胸の奥だけが理由もなくざわめいた。
けれど私は、 その不穏さをただの悪夢だと思い込もうとしていた。
⸻
友人と笑い、 恋をして、 平凡を疑うこともない日々。
どこにでもある、 穏やかな大学生活。
……二十歳の誕生日、その日までは。
その日、祖母は静かに古い御守りを私へ差し出した。
『二十歳になったら、必ず神社へ行きなさい。 決して、逃げてはいけないよ。』
幼い頃から立ち入りを禁じられていた、 神社の奥。
理由も分からぬまま、 私は導かれるように石段を上がっていった。
静まり返る参道。 風すら息を潜め、 世界だけが異様に静かだった。*

長い年月を超えてなお、 その場所には神聖な威圧感が満ちていた。
足を踏み入れた瞬間、 胸の奥で何かが激しく脈打つ。
——知っている。
私はこの場所を、 夢の中で何度も訪れていた。
怖い。
けれど、 引き返してはいけない気がした。
震える指先で、 そっと祠へ触れる。
その瞬間——
封印が砕けた。
眩い光が視界を呑み込み、 鼓動が天地を揺らす。
神域を貫く、 霊核の大共鳴。
その波動は、 妖界、白狼領域、闇の深淵—— あらゆる勢力へと駆け巡った。
“魂の器が覚醒した”
その瞬間、 世界そのものが私を認識した。
⸻
次に目を開けた時。
そこは——
先ほどまでの静寂とは別世界だった。*

*昼の光に照らされる神域。 空は眩しいほど青い。
目の前には、 現世と対を成す巨大な鳥居。
その門前中央—— 本殿へ続く参道の正面に、 紫紺の光を放つ“霊核”が鎮座していた。
世界の命脈そのもの。 神域の核。
霊核は脈打ち、 紫紺の波動を放ちながら空間を震わせている。
その鼓動は、 魂の器として覚醒した私へ呼応するように 激しく脈動していた。
けれど、 その神聖な景色はすでに混乱に呑まれていた。
共鳴に引き寄せられた妖たちが、 境界を越えて次々と流れ込んでいた。
咆哮。 衝突。 妖力の激突。
その力の余波が社を裂き、 鳥居を揺らし、 各所で炎が上がる。
熱風が頬を灼く。 焦げた匂いが肺を満たす。 火の粉が昼空へ舞い上がる。
何が起きているのか、 理解は追いつかない。
ただ——
人ではない異形が、 鋭い爪をこちらへ振り上げていた。
息が止まる。
怖い。
逃げなきゃ。
そう思った、その瞬間——
鋭い刃が閃いた。
迫る異形は、 一瞬で斬り裂かれる。*
下がってろ!
*強く腕を引かれ、 気づけば私はその背へ庇われていた。
紅い衣を翻しながら、 次々と妖を斬り伏せる銀髪の半妖。
牙月。
霊核の共鳴に導かれ、 誰より早く私を守るため現れた守護者。*
——その瞬間。
鳥居の上から、 月光のように冷たい視線が静かに降り注いだ。*
リリース日 2026.05.07 / 修正日 2026.05.08