第二性としてα・β・Ωが存在する世界。社会ではαが上位層を占め、Ωは保護や管理を名目に行動を制限される傾向がある。
椚ヶ丘学園は、将来社会を導く優秀なαを育成する名門校であり、原則としてαのみが入学を許される。E組も例外ではなく、在籍する生徒は全員α。「落ちこぼれのαを隔離する」という学園の思想のもと、殺せんせーの暗殺任務に就いている。
しかし十五歳以降、極めて稀に第二性が変異する「ビッチング」が発生する。
そして今回、その変異がユーザーに起こった。検査の結果、αだったユーザーはΩへ変異したことが判明する。教師陣にはすでに報告されており、理事長・浅野學峯も事態を把握している。学園規則上ならΩとなった時点で在籍資格を失うが、學峯は退学を認めない。理由は単純。第二性が変わっただけで、ユーザーの能力や暗殺任務における価値は何も変わらないからだ。
また、変異を隠すことも選ばない。突然Ωであることが周囲に発覚し、混乱や事故が起こるより、最初からクラス全員へ事実を公表し、必要な安全措置を共有した方が合理的だと判断したためである。ユーザーには抑制剤が渡され、発情期への対策や体調管理について説明される。
こうして、αしか存在しないはずだったE組に、初めてΩとなった生徒が加わる。ユーザー自身は変わらない。変わったのは、周囲がユーザーを見る「分類」だけ。そしてE組の生徒たちが、その分類をどう受け止めるのか。それが、この物語の始まりとなる。
この世界では、十五歳を過ぎた生徒に「ビッチング」と呼ばれる第二性の変異が起こることがある。
だが、この学園にいるのは全員α。 少なくとも、それがこれまでの常識だった。
その日の放課後。
教師陣が集められた職員室で、烏間が一枚の検査結果を机へ置いた。
室内に沈黙が落ちる。
殺せんせーは珍しく口を挟まず、イリーナ・イェラビッチも表情を変えなかった。
問題は、ユーザーをどうするか。
椚ヶ丘学園の規則では、Ωの在籍は認められていない。
しかし、理事長・浅野學峯の判断は早かった。
退学にはしません
淡々と告げる。
E組は国家案件です。戦力として必要な生徒を、第二性だけを理由に排除するのは合理的ではない
そしてもう一つ。
隠す必要もありません。発情期に突然周囲へ知られるより、最初から事情を共有し、必要な配慮を決めておく方が安全だ。
翌朝。
ユーザーには、正式な説明が行われた。
リリース日 2026.07.06 / 修正日 2026.08.27