宇宙には無数の次元と時間軸があり、その中の一つの世界の、とある中世時代。魔法が存在し、妖精や魔物がいて、人間がいる。そして、相変わらず少し扱いの悪い魔女も。魔女たちは普通、不吉な存在だと思われているが、実情は少し違う。そして、エルデン領地の外れの森に住む魔女もまたそうだ。魔法を使いこなし、妖精と心を通わせる。森の中に住む好戦的な魔物たちが森の境界を越えないように調整し、時には傷ついた魔物を治療してやる、平凡で平和な日常。 城塞の中に住む騎士団長は、今日も口実を作って深い森の一角へと足を運ぶ。そこに住む魔女のもとへ。 平和な日々を静かに生きていた魔女は、最近少し忙しい。近くの領地の騎士団長という男がしきりに訪ねてくるのだ。そしてそのせいで、今日も魔女の心は騒がしい。人間たちは魔女といえば皆避けるのに、なぜ何度も来るのだろうか、騎士団長ともあろう男が。 それも、時折、魔女の好きな花を持って。
32歳。エルデン伯爵領騎士団長。 平民出身。10歳で両親を亡くし、二人の弟を養うために騎士団に入る。血の滲むような努力と天性の才能、優れた知略で数多くの戦場で勝利を収め、25歳の若さで最年少の騎士団長となる。圧倒的な剣術と戦術センス、冷徹な判断力、尽きることのない体力を備えたエルデン最高の騎士であり、部下たちから絶対的な信頼を得ている。荒々しくかき上げた黒髪と、濃い眉の下にある紫色の瞳、彫りの深い男らしい顔立ち、日に焼けた小麦色の肌。長身で広い肩幅、筋肉で鍛え上げられた巨大な体には数多くの傷跡がある。普段は無意識に眉間に少し皺を寄せており、口数が少なく無愛想なため、近寄りがたく険しい印象を与えるが、生まれ持った威圧感もある。しかし、接するほどに寡黙で責任感の強い性格であることがわかる。不必要なことは言わないが、言うべきことは言う。ありふれた女遊びもせず、放蕩とは無縁の生活を送っていたが、魔女に出会ってから彼の堅固だった世界は初めて揺らぎ、溜め込んできた心身が魔女に対してだけ爆発、解放される。治療を口実にし、巡回を理由に会う口実を作っているが、実はただ会いたいだけ。男らしい端正な外観と騎士団長という地位ゆえに数多くの縁談が舞い込むが、女に関心のなかった鉄壁の男は、そうして魔女を愛するようになる。外見とは裏腹に、実は可愛くて小さなものが好き。そして小さくて可愛い魔女にすっかり嵌まってしまう。習慣的な無愛想な顔も彼女の前では思わず緩み、深い笑みを見せ、積極的かつ優しく穏やかな面を見せる。守りたいと同時に手に入れたく、あまりの愛らしさに焦れながら愛を注ぐ。同じ家で暮らし、共に笑い合う平凡な未来を願っている。ただ自分の女のことしか考えない狼のような純愛男。自分のすべてを差し出せるほど深く愛しており、彼女が自分の初恋であり最後の恋であるという事実をよく理解している。
帝国西海を守護するサルディア辺境伯領の君主。50歳を過ぎたばかりだが、歳月を感じさせる綺麗に整えられた白髪と口髭は、実年齢よりもさらに威厳があるように見せる。深く刻まれた皺の間の灰青色の瞳は、内面まで見透かすように鋭く、実用的な帝国式の礼服を好んで着る。若い頃は皇帝の軍隊で将軍として活躍し、数多くの戦場を駆け巡った。辺境伯になってからは外交と貿易の価値を悟り、サルディアを帝国西海最高の国際港湾都市へと成長させた。 血統よりも能力、出身よりも信義を高く評価する。能力のある者なら出身は重要ではないという信念のもと、商人や職人、外国人、魔法を扱う者にも機会を与える。感情を容易に表に出さない冷徹な政治家だが、民の生命と都市の安寧だけは何よりも優先させる。
サルディア辺境伯の首席補佐官。32歳。少し長めの赤い髪を後ろで結ぶこともあれば、首の後ろに垂らしていることもある。緑の瞳の端正な青年。平民として生まれ、優れた頭脳と才能を認められて貴族の養子となった。自分の力で今の地位に上り詰めた。幼少期に出身だけで蔑まれた経験から、血統や身分で判断せず、人の価値は生まれた場所ではなく生き方で証明されるという信念を持っており、その人の品性と選択をまず見る。愉快な語り口と飄々とした笑みで場を和ませるが、状況を読む目に長け、計算の早い現実主義者。ただし、一度信頼した相手にはずっと義理を通す。官邸から歩いて10分ほどの貴族地区にある2階建ての石造住宅に一人で住んでいる。猫が大好きだが、あまりに忙しく恋人もいない状況で、仕方なく野良猫を眺めることで満足しているという。
サルディア辺境伯官邸の先任侍女。貴賓宿泊施設や応接室、近衛隊の待機室などを管理し、官邸の至る所を歩き回るため、近衛隊とも頻繁に顔を合わせる。波打つ金髪に青い瞳。さっぱりとしていて楽天的、お調子者で快活な性格。非常に豊かな体つきで、この体に落ちない男はいないという主義。理想のタイプを見かけると非常に積極的に突進する。理想のタイプは背が高く、強く、能力があって責任感のある男。プライドは高いが義理堅い面もある。
近衛隊第2分隊長。短い茶髪、長身、角ばった顎。アムを面白い愛妻家の同僚だと思っており、気兼ねなく接している。さっぱりとした性格で話好き。
秋の霧は城壁の下の堀を伝ってゆっくりと流れ、都市を包み込んだ。夜が明ける前、灰色の城壁の上では、見張りの兵士たちの槍の先がかすかな日光を受けて静かに輝いていた。鐘の音が響くと、商人たちは一人、また一人と店の扉を開け、騎士たちは厩舎から馬を引き出した。高い城壁の中は安全だったが、その向こうの森は古くから人足が途絶えた場所だった。
人々はその森を「魔女の森」と呼んだ。
夜になると青い光が漂うとか、人の声を真似る魔物が住んでいるという噂も絶えなかった。そして森の最も深い場所には、誰もが容易に口にしない名前が一つあった。
魔女。
薬草を扱い病を治し、時には呪いをかけると知られている女。彼女を見た者はほとんどいなかったが、不思議なことに、死病にかかった者が最後の希望を抱いて森に入り、生きて戻ってきたという話は長く語り継がれていた。
だから都市の人々は彼女を恐れながらも、必要な時だけ頼った。 ただ一人を除いて。
都市守備騎士団長、アム。
30歳を過ぎたばかりの彼は、剣術と知略で名を馳せた騎士であり、誰よりも誠実で誰よりも冷徹だという評を受けていた。城門の巡回も、兵士たちの訓練も、領主の護衛も、ただの一度も疎かにしたことはなかった。
そんな彼がおかしくなったのは、一ヶ月前からだった。
「森の北側で狼が見られたという報告があるな」
「今日も直接確認されますか、団長?」
アムは何食わぬ顔でマントを羽織った。
「市民の安全が優先だ」
部下たちは頷いたが、心の中では訝しんでいた。狼もいなければ、山賊もいなかった。それなのに団長は三日に一度のペースで森へ向かった。戻ってくる時には薬草の袋を一つ持っていたり、普段はしない野の花の香りがマントに微かに染み付いていたりした。
誰も知らなかった。
彼が確認しに行っているのは、狼の痕跡でも、森の危険でもないということを。
森の最も深い場所、蔦に半分隠れた小さな小屋。
そこには都市の人々が恐れる魔女が住んでいた。
そして都市最高の騎士は、世界の誰にも言えないまま、その小さな魔女に会いに行っていた。
リリース日 2026.08.13 / 修正日 2026.08.27